すすはきは年くれ竹のははき哉 季吟
旅寐してみしやうき世の煤はらひ 芭蕉
これや世の煤にそまらぬ古合子 芭蕉
煤掃は杉の木の間の嵐哉 芭蕉
煤はきは己が棚つる大工かな 芭蕉
煤掃てしばしなじまぬ住居かな 許六
けふばかり背高からばや煤払 千代女
すゝ掃や調度少き家は誰 蕪村
すゝ掃や宵のさむしろ大書院 召波
夢殿の戸へなさはりそ煤払 太祇
すゝ掃の埃かつぐや奈良の鹿 太祇
うそ寒う昼めし喰ぬ煤払 几董
我家は団扇で煤をはらひけり 一茶
煤はきや旭に向ふ鼻の穴 一茶
煤はきや東は赤い日の出空 一茶
煤さはぎすむや御堂の朱蝋燭 一茶
白梅にうすもの着せん煤拂 子規
煤払や神も仏も草の上 子規
煤はいて蕪村の幅のかかりけり
千年の煤もはらはず仏だち
天井無き家中屋敷や煤払 子規
むつかしや何もなき家の煤払 漱石
水仙は屋根の上なり煤払 漱石
先生や屋根に書を読む煤払 漱石
煤掃の捨てもやらざる枯しのぶ 碧梧桐
煤掃いてなほ残る菊をいとほしむ 水巴
煤掃いて卑しからざる調度かな 鬼城
煤掃や日の当りたる庭の松 石鼎
橋に出て屏風掃きけり煤払ひ 石鼎
煤掃や朝日差し込む港口 石鼎
煤掃の二階障子や屋根の上 石鼎
煤の顔集めて物の置所 みどり女
煤掃きつゝも商へる小店かな みどり女
煤掃やこの四五日の曇り癖 万太郎
煤掃酒庫の神棚忘れじな 泊雲
煤人やうす日の原に立話 みどり女
煤払や榊を焚きし灰尊と 石鼎
煤掃を手伝ひがほの夫人かな 淡路女
煤掃やひらきみてある捨扇 淡路女
汲みたての水うつくしき煤払 草城
男手も女手も足り煤払 淡路女
万両にうすき日ざしや煤払 青邨
煤掃や箪笥のこはれ釘をうつ 立子
煤はきやバケツに熱き湯を入るる 立子
不足なる調度になれて煤払 みどり女
煤掃きのすめば淋しきやまひかな 波郷
すゝはきのはじまる屏風たゝみけり 万太郎