鐘なる間庭をありくや降誕祭 普羅
街中にせゝらぎ聞くや冬こもり 石鼎
貧しけれどもクリスマスの夜父ありぬ かな女
クリスマスの靴磨きゐる牧師かな 草城
雪道や降誕祭の窓明かり 久女
ましろなる神父の髯やクリスマス 風生
長崎に雪めづらしやクリスマス 風生
雪の戸の堅きを押しぬクリスマス 秋櫻子
城内にひゞける鐘はクリスマス 草城
灯を吐いて降誕祭の廚口 草城
ゴブランの大壁懸やクリスマス 月二郎
塔の上の鐘動き鳴るクリスマス たかし
雪かゝり星かゞやける聖樹かな 青邨
昇降機聖誕祭のとつくにびとと 誓子
扉のひまに厨房見ゆるクリスマス 誓子
映画会聖誕祭の童ばかり 誓子
わらべらに寝ねどき過ぎぬクリスマス 誓子
クリスマスけふの花婿花嫁御 花蓑
聖誕祭蹌踉の犬を蹴りて路地 波郷
日象に耶蘇降誕の茶のけむり 蛇笏
港の灯降誕祭の窓に見ゆ 辰之助
ジヤコビンの赤き蝋燭クリスマス 青邨
クリスマスかの凍て星に遠き世を 三鬼
クリスマス神父の黒衣裾長に 三鬼
聖樹燈り水のごとくに月夜かな 蛇笏
ガチャガチャの鳴く夜を以てクリスマス 鳳作
手づくりの蝋燭たてやクリスマス 鳳作
聖誕祭かたゐは門にうづくまる 鳳作
一堂にこもらふ息やクリスマス 鳳作
マドロスに聖誕祭のちまたかな 鳳作
聖き夜のなかぞらに魚玻璃に 三鬼
降誕祭待つ燭こよひともすなり 青邨
クリスマス近づく雪のこよひまた 青邨
胡桃など割つてひとりゐクリスマス 青邨
クリスマス地に来ちちはは舟を漕ぐ 不死男
花舗の燈や聖誕祭の人通る 林火
クリスマス真つ暗な坂あがりしが 万太郎
鎌倉に馬車の往来やクリスマス 万太郎
らふそくの燃えゆくはたのしクリスマス 青邨
タンネンの葉に臘涙聖夜も更け 青邨
少年工学帽かむりクリスマス 不死男
クリスマス徒弟を求むラヂオ鳴り 不死男
クリスマス近づく寮の歌稽古 久女
七面鳥皿に灯ともり聖夜航く 多佳子
クリスマス妻にかなしみいつしか持ち 信子