灯りて慶び事や冬木宿
蓮枯れぬ石橋高くかゝりつゝ
ましろなる神父の髯やクリスマス
長崎に雪めづらしやクリスマス
寒菊の咲きかたまれる籬かな
寒菊の霜を払つて剪りにけり
雑色や落葉一つを拾ひ去る
ともしびを剪れば明るき屏風かな
旅立ちて神はおはさぬ神馬かな
今朝の雪巷に出でてなかりけり
そのかみの東海道や夕時雨
大寒の天気つづきの檜垣かな
野施行や石に置きたる海の幸
白足袋のよごれもつかずぬがれけり
柊の花と思へど夕まぐれ
石蕗の花きびしき霜に襲はれぬ
枯葎蝶のむくろのかかりたる
街道に大根洗ふ大盥
人波の流れやまぬに暦売
頂に出て落葉なき眺かな
今朝冬の日当りそめし手水鉢
縁先の引上げ舟や日向ぼこ
まろまろと雪ののこれる敷松葉
寒紅の濃き唇を開かざり