和歌と俳句

柊の花

其角
ふれみぞれ柊の花の七日市

鬼城
屋根ふいて柊の花に住みにけり

草城
隠れ栖む柊の垣花さきぬ

風生
柊の花と思へど夕まぐれ

悌二郎
垣ながら柊咲ける月夜かな

たかし
柊の花のともしき深みどり

みどり女
柊の花にかぶせて茶巾干す

素十
柊の花一本の香かな

草田男
柊の花から白くこぼれ落つ

草田男
柊の花多ければ喜びぬ

茂吉
ひひらぎの白き小花の咲くときにいつとしもなき冬は来むかふ

茂吉
ひひらぎの香にたつ花を身近くに置かむともせず冬深みゆく

林火
思ひとほし柊の花に立ちどまる

波郷
柊の指さされたる香かな

虚子
心ひまあれば柊花こぼす

万太郎
柊の花や空襲警報下

蛇笏
寒天に大晴れしたる花柊

蛇笏
極寒の天晴れて咲く柊かな

林火
柊の花や掃かれし土の匂ひ

悌二郎
柊の香やあをあをと夜の冨士