下リざまに又鐘きくや冬もみぢ 几董
汐風の吹よわるかたや冬紅葉 暁台
一葉
ここまではあらしも訪はじ奥山の岩がきもみぢ冬も残れり
夕映に何の水輪や冬紅葉 水巴
沈む日を子に拝むませぬ冬紅葉 かな女
冬紅葉倒れんほどに凭りしかな かな女
冬紅葉照りながれへてさながらに 草城
よき人のふれてはじきぬ冬紅葉 石鼎
冬もみぢたとへば霜の紅さかな 石鼎
たそがれてさびしきものや冬紅葉 石鼎
雨はれて畦のながめの冬紅葉 秋櫻子
冬紅葉堂塔谷に沈み居り 茅舎
冬紅葉長門の国に船着きぬ 誓子
冬紅葉故国はかくも天霧らふ 誓子
日おもてにあればはなやか冬紅葉 草城
夕映に何の水輪や冬紅葉 水巴
高く上がる煙草のけむり冬紅葉 青邨
もえながらまばらとなりぬ冬紅葉 石鼎
冬もみぢ端山の草木禽啼かず 蛇笏
冬紅葉簷にさしいで爐ありけり 秋櫻子
冬紅葉常見る松を高くしぬ 秋櫻子
冬紅葉南風吹く日にどつと散る 茅舎
冬紅葉一円相にちりつもる 茅舎
冬紅葉はさめる森へ畝むかふ 秋櫻子
冬紅葉濃しや峡田の行きどまり 秋櫻子
強飯の粘ることかな冬紅葉 波郷
丈高くまぎれず征けり冬紅葉 波郷
冬紅葉父をも顧みざりけり 波郷
冬紅葉濃き日たゝへてしづかなり 万太郎
茶室の戸けさまだあかず冬紅葉 万太郎
冬紅葉擁かれつ蹤きつ女の身 波郷
冬紅葉冬のひかりをあつめけり 万太郎
冬紅葉身軽な旅に出たりけり 真砂女
撞き終る捨て鐘一つ冬紅葉 たかし
冬紅葉海の十六夜照りにけり 秋櫻子
冬紅葉甲斐深き山うかびたり 秋櫻子
冬紅葉師の忌に逢うてまた別る 林火
冬紅葉美しといひ旅めきぬ 立子
冬紅葉しづかに人を歩ましむ 風生
冬紅葉あらぬかたより日のさせる 万太郎<
水奔りゆくかげくらし冬紅葉 万太郎
大勢の中に我あり冬紅葉 立子
父憶ふ心は同じ冬紅葉 立子
気を張れば病を忘れ冬紅葉 立子
竹揺らぐたび彩ふかめ冬紅葉 悌二郎
千年経て御佛います冬紅葉 秋櫻子
冬紅葉もしなかりせば沼の景 悌二郎
暮れてまた夕映すなり冬紅葉 秋櫻子
夜半照りし月はいづこに冬紅葉 秋櫻子
曇れども越の山見ゆ冬紅葉 秋櫻子
冬紅葉山門の朱にかよひ見ゆ 爽雨
ほとりあふ湯の神湯元冬もみじ 爽雨
妃の陵は濠のさざなみ冬紅葉 爽雨
山杉の蔵しやまずも冬紅葉 爽雨
手庇の中の紅冬紅葉 みどり女
一すじの道冬紅葉濃かりけり 貞
主婦であり且つこの道や冬紅葉 貞