湯揉みせる唄よ湯音よ雪の暮
湯畑の湯花採る日や深雪晴
湯畑の湯気ゆく屋根の雪卸し
雪の荘湯川に臨み閉しあり
山川と湯川落ち合ふ雪深し
雪明り月明りして町眠る
紅葉ちる音ひびくらし厨子の裡
撞き終る捨て鐘一つ冬紅葉
山山の北面の雪濃しと見る
越の雪化粧つつある枯木山
雪山の立木の並び見の正し
緑金に見よや冬日のゆらぎ燃ゆ
白焔に冬日の玉の隠れ燃ゆ
白焔の縁の緑や冬日燃ゆ
温泉の池に雪山映り女体透き
白日とある白頭の枯尾花
塗火桶置けば映るや青畳
一人居て赤き炭火に執しをり
名園の冬きよらかに人乏し
池冰り佳木佳石の明らかに
冬深き樹石の姿晴れ渡り
捨て捨てし塵の五色の冬日かな
冬椿咲き休みゐて日脚伸ぶ