深雪晴非想非非想天までも
スキーヤー伸びつ縮みつ雪卍
立ち塞ぐ雪山に日の急ぎ落ち
月星に氷柱は牙を磨きをり
雪垣に月明の雪濤の如く
綺羅星は私語し雪嶺これを聴く
深雪宿温泉室の屋根は雪を置かず
み雪ふる浴めば処女茜さし
はだか女に湯気の文目や雪の暮
雪しんしん出湯こんこんと尽くるなし
氷りたる瀧ひつ提げて山そそる
崖氷柱刀林地獄逆まに
崖氷柱我を目がけて殺気かな
旅先に一幅を得つ日脚伸ぶ
枯菊の相抱くあり倒れつつ
薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫
燈火の揺れとどまらず虎落笛
虎落笛闇の帷に閃閃と
日がなゐて夕しづもりの炬燵かな
妻と居て孤ろごころの炬燵かな
とことはの二人暮しの年用意
鶲来てとまる枯木に今日は雨