和歌と俳句

柴漬 ふしづけ

拾遺集 兼盛
ふしつけし淀の渡をけさ見ればとけん期もなくしにけり

千載集 藤原仲実朝臣
泉河水のみわたのふしつけに柴間のこほる冬は来にけり

柴漬に見るもかなしき小魚かな 虚子

沼尻の川の流れや柴漬くる 碧梧桐

柴漬や水に押されて在処 碧梧桐

柴漬やをねをね晴れて山遠し 鬼城

柴漬や川上に水なかりけり 鬼城

柴漬や川風受けて店障子 橙黄子

柴漬や古利根今日の日を沈む 秋櫻子

柴漬や里輪のけぶりいと遠く 秋櫻子

柴漬や鮠の四五鱗出てあそぶ 秋櫻子

柴漬の舟あらはれぬ窓の景 多佳子

柴漬の悲しき小魚ばかりかな 虚子

柴漬にまこと消ぬべき小魚かな 虚子

柴漬や簀建の中の波かまか 素十

柴漬をあげて夕日によろめける 悌二郎

柴漬にすがりてあがるものかなし 風生