和歌と俳句

及川 貞

風呂吹きや何煮ても思ふ子みな失せ

笹鳴や厨ごとこそ大切に

くさや焼く京橋つ子は寒がりで

北斗の柄より降る木の葉大きかり

その生涯入坑採鑛木の葉髪

一すじの道冬紅葉濃かりけり

主婦であり且つこの道や冬紅葉

大わたや落葉ふむ音のみの道

孫と寝て朝孫童子と落葉焚く

落葉掃かれある子の墓をたゞ掃きぬ

寒椿月の照る夜は葉に隠る

この齢で何をおそるる虎落笛

三つ星の上に月ある寒さかな

京二条寒念仏はこの小路

寒木瓜や先きの蕾に花移る

これこそは寒の土筆よ小吸物