和歌と俳句

笹鳴き

笹鳴や艦入り替ふる麓湾 蛇笏

孵化三年魚気澄む汀笹鳴きぬ 碧梧桐

笹鳴や世をしづめたる山家集 喜舟

暁の日の染む上枝より笹鳴きす 石鼎

笹鳴くや横笛堂の真木林 龍之介

笹鳴くや雪駄は小島政二郎 龍之介

原稿はまだかまだかと笹鳴くや 龍之介

笹鳴のとぶ金色や夕日笹 石鼎

笹鳴や乾き岐れし潦 櫻坡子

牧水
鶯さだかにぞ見し枯草にこもりささなくそのうぐひすを

ささなきの谷に起るや一ところ 石鼎

日あたりて笹鳴近くなりにけり 石鼎

ささなきのふと我を見し瞳かな 石鼎

笹鳴の人なつかしや忌がかり 青畝

笹啼やまかげしたまふ矢大臣 青畝

ささ鳴や頂上ちかき雪解道 爽雨

さゝなきや雪をかむれる石燈籠 石鼎

笹鳴の木の裏あたり母の咳 かな女

笹鳴やつゞき下り来る柴負女 悌二郎

ささなきの眉あらはしし夕日かな 石鼎

笹鳴やつくばひかけて積る雪 烏頭子

笹鳴や飛鳥川とて涸れのこる 秋櫻子

笹鳴や水のゆふぐれおのづから 草城

笹鳴の小さなる音をきゝすまし みどり女

笹鳴や四五本の松を踏みわたり 石鼎

笹鳴の日の出まへより一しきり 石鼎

笹鳴の青きすがたの見えにけり 草城

再びの笹鳴はすぐ近くかな 立子


冬の日 顔見世 冬の空 初雪 初氷 寒さ 冬木立 枯木 冬枯 枯尾花 冬の山 枯野 笹鳴き みそさざい 都鳥 千鳥 冬の海 河豚 海鼠 冬ごもり 埋火 焚火 炬燵 風邪 日向ぼつこ 北風 霜夜 冬の雨 冬の月 冬至 柚湯 クリスマス 師走 年の市 煤払い 年忘れ 餅つき 歳の暮 行く年 大晦日 除夜