燃えそめし木にそひ走る焔かな
落ちて来る雪の一つを見送りぬ
我が庭も霜除出来て新しき
丸まげに結うても見たり玉子酒
からからと落葉追ひ来て追ひ越しぬ
水に下りし鴨の羽音や雨の中
下りるとき青美しき鴨のはね
水際に千鳥の跡のあるばかり
掃除して塵かたよせぬ石蕗の花
花びらのまばらになりて石蕗の花
美しき銀杏落葉を仰ぐのみ
冬の日のなほ移りゆく園にあり
再びの笹鳴はすぐ近くかな
独楽もつて子等上りくる落葉寺
赤き独楽まはり澄みたる落葉かな
あばれ独楽やがて静まる落葉かな
落葉降る大木に身をよせにけり
時雨るると仰ぎし空の烏かな
よく燃ゆる焚火に投げぬ松ぼくり
人の背に煙をよけし焚火かな
枯枝に四十雀来て賑はしや
水鳥の下りゆく石の沈みをり
はつきりと月見えてゐる枯木かな
細々と月にさし出し枯枝かな
冬の月梢にかかりゆがみたる
拝む人に道よけて佇つ冬社
枯色の枯山吹の枝のさき