尼寺の忘年句会チューリップ
娘赤足袋男の子黒足袋著ぶくれて
時雨つつ生垣めぐり訪ひぬ
この頃の好きな色赤焚火守る
茶の花や柵にかくれて墓小さく
鳩とゐし千鳥がとべば烏来る
見失ひつつも千鳥のあとを追ふ
三人となり落葉掻何を笑ふ
燃え残りゐたる紅葉にほと焔
風来れば焚火の尉の又赤く
何といふ淋しきところ宇治の冬
酔うてゆくわれを知りをり狸汁
納屋抜けてもらひ風呂して時雨宿
わが爪の今宵つやゝか桐火桶
夕時雨小走りにゆく人につき
夕方の日が赤々と磯千鳥
今たしか少し時雨れてをりたるに
あそびくせ時計見て日短か
老犬の日向たのしむ石蕗黄なり
ふとしたることより榾火よく燃ゆる
木を倒す音静まりし冬の山
よく続く冬日和かな母を訪ふ
電車追ひバス追ひ人等著ぶくれて
小気味よき寒さとなりぬ年の暮