こまごまと女世帯や春隣
どこそこに寒稽古あり聞くばかり
地震ありぬあたかも霜に足とられ
連句読めば芭蕉が好きや冬籠
あそぶ子のいつも同じや銀杏散る
落葉吹きたまりしところ古墳あり
そのまゝといはれ会釈しコート脱ぐ
鉛筆のすぐに書き減り日短
夜々月の遅くなりつゝ冬木道
箒目の集つてゐる焚火かな
冬の日の沈むを惜しむわれのみか
雪の道足袋濡れて来て心細
寒風を来し目に少し涙ため
炭斗をどこに置かんと持ちまどひ
とりちらす座右に炭斗小引出
寒月にそそり立ち折れ波頭
屋根区切り大佛区切り冬の空
冬晴の玉蟲色に鳩歩く
短日のふと何を欲り指輪欲り
尼寺の暗さ明るさ二タ時雨
著ぶくれて肩のこりたる首をまげ
鷺点じ日輪点じ大冬田
灰色のドームの如く時雨れ来し
植ゑ移す花ある石蕗を鍬の上
炬燵の間母中心に父もあり