冬晴のまこと美くし玻璃拭ふ
笹子来てをり玻璃ごしに見てゐたり
凍りたるわが身を支ふ足重く
道をきく寒の夜道の心細そ
野川に日きらきら大根洗ひをり
小諸さむし風に吹かれて肩こりて
此処に又落葉掃きためマッチすり
町中に落葉に埋れ宮古りぬ
炉開いてほんの少しの塵を掃く
朝時雨夕時雨とぞわび住めり
冬晴の雀ぴかぴかとびにけり
茶の花や少し大人になりにける
街路樹の落葉や門に吹きたまり
何描く画家冬木根に腰かけて
冬の雨やむけしき見せ美しき
まつ白に煙上りぬ紅葉焚く
とんとんと上る階段年忘れ
大勢の中に我あり冬紅葉
火を入れしばかりの火鉢縁つめた
著衣尊像裸形尊像時雨寺
焼藷の風呂敷包誰が持つ
買物の好きな女に師走来る
寒燈や誰の世話にもならぬこと
悴める手にペンとりて書きくるゝ
母に客我にも客や冬籠