和歌と俳句

星野立子

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

楼門のうち明るき深雪かな

夜半さめてこの静けさや雪ならめ

桑畑の細枝のみ見ゆ深雪かな

畑中や深雪かき居る一軒家

束の間の雪なりしかど美しき

降り終る雪二三片軒庇

看護婦は朝の掃除や冬薔薇

石蕗の虻折々昼の食膳に

掃き終へし庭に落葉の浅々と

笹鳴のきてはかさかさ柿落葉

落葉する細きするどき音のあり

尻高くはね上げ小犬小春園

木の間より湧き立ち降れる落葉かな

冬木道暖かき日のさし抜けて

落葉中とび立つ鳩も静かなり

なりはひの一人異り近松忌

化粧坂うねうね冬の山裾を

堂裏の納め不動の占者

早梅に来てばつたりと日落ちたり

をし群れて餌につきゐしは今しがた

すきすきて冬木枯木の小山あり

夕日まつかに没したり磯千鳥

里神楽こと分からねど面白き

火桶抱き脊ナをかがめて山眺め