一葉
さゆる夜の真砂の霜やいとふらむ浦わの千鳥月に鳴くなり
一葉
更けぬるか寒き河せの月かげにうらがなしくもなく千鳥かな
千鳥なく灘は百里の吹雪哉 子規
千鳥啼く揚荷のあとの月夜哉 子規
俊寛と共に吹かるる千鳥かな 漱石
千鳥啼て浦の名を問ふ船路かな 碧梧桐
節
昨日こそうしほあみしか大磯のいそふく風に千鳥なくなり
あら浪に千鳥たしかや帆綱巻く 蛇笏
俊寛の枕ながるる千鳥かな 蛇笏
燈台に双棲の君や鳴く千鳥 碧梧桐
楯に似し岩めぐり鳴くは千鳥かな 碧梧桐
千鳥来るや岬ともなき牛牧場 碧梧桐
離れ家離れ岩あり飛ぶ千鳥 碧梧桐
高浪に千鳥帯とてつづきけり 蛇笏
汐くみにきて遠冨士にちどりかな 蛇笏
ありあけの月をこぼるる千鳥かな 蛇笏
青樓の灯に松こゆるちどりかな 蛇笏
岬山の緑竹にとぶちどりかな 蛇笏
牧水
まひわたる千鳥が群は浪のうへに低くつづきて夕日さしをり