和歌と俳句

冬至

待らんに行ばや我も冬至の日 支考

新右衛門じや足を誘ふ冬至かな 蕪村

書記典主故園に遊ぶ冬至哉 蕪村

貧乏な儒者とひ来る冬至哉 蕪村

日は冬至埋れ蛙も目覚なむ 暁台

陰陽師歩にとられ行冬至哉 太祇

野の中に土御門家や冬至の日 太祇

飯喰ふて暇にしてみる冬至哉 太祇

鴬のうしろ影見し冬至哉 几董

仏壇に水仙活けし冬至哉 子規

仏壇の菓子うつくしき冬至かな 子規

日曜にあたりて遊ぶ冬至かな 虚子

喝食の面打ち終へし冬至かな 虚子

六波羅へぼたん見にゆく冬至かな 蛇笏

帆もなくて冬至の海の日影かな 蛇笏

山国の虚空日わたる冬至かな 蛇笏

とりへらす薪に心や冬至荒 石鼎

芋少し煮えて冬至を祝ひけり かな女

暮れてゐる冬至の顔の往き来かな 草城

磧湯に馬を入れやる冬至かな 喜舟

大竃火炬燵に見居る冬至かな 石鼎

出づる我に芋焼いて居ぬ冬至の子 かな女

へつつひに冬至の柚子がのつてをる 風生

万年青の実赤しと思ふ冬至かな 青邨

お天気のけふは冬至や蒲団干す 立子

歳時記に聞きて冬至のはかりごと たかし

呼鈴の損じつくろふ冬至かな 万太郎

目かくしの高き塀にて冬至かな 万太郎

子地獄の吹きさらさるる冬至風呂 蛇笏