被き伏蒲団や寒き夜やすごき 芭蕉
寝こころや火燵蒲団のさめぬ内 其角
大兵のかり寝あはれむ布団哉 蕪村
能きふとん宗祇とめたるうれしさに 蕪村
虎の尾を踏つゝ裾にふとんかな 蕪村
嵐雪とふとん引合ふ侘寝かな 蕪村
古郷にひと夜は更るふとんかな 蕪村
身に添はで憂しやふとんの透間風 召波
早立のかぶせてくれしふとん哉 一茶
昼比にもどりてたたむふとん哉 一茶
ふとんきて達磨もどきに居りけり 一茶
重ねても軽きが上の薄蒲団 子規
寒さうに母の寝給ふ蒲団哉 子規
無精さや蒲団の中で足袋をぬぐ 子規
綿厚き蒲団に父孫妻子かな 碧梧桐
燈の下に今日の身は無き布団かな 水巴
ぬくみなほ我れに母ある蒲団かな 亞浪
灯一つに明き四壁や厚布団 石鼎
灯消す屏風のうちの布団かな 石鼎
峰二つ越えて寝てゐる蒲団かな 禅寺洞
ほくほくと老の寝にゆく布団かな 禅寺洞
唐草の色なくなりし蒲団かな 櫻坡子
故郷の雨の音聞く布団かな 万太郎
湯気の子をくるみ受取る布団かな 久女
六つなるは父の布団にねせてけり 久女
右左に子をはさみ寝る布団かな 久女
布団の襟に睫毛こすりて覚め居たり 汀女
ほつくりと蒲団に入りて寝たりけり 亞浪
干蒲団荒磯の潮のつぶやける 秋櫻子
欄の下かがよふ瀬あり干蒲団 秋櫻子
欄間より小夜風通ふ蒲団かな 茅舎
遊学の旅にゆく娘の布団とぢ 久女
うたゝ寝の覚むればありし布団かな 石鼎
涙顔嗚呼冷えつらん蒲団かな 蛇笏
朱と青の深き緯見ゆる蒲団かな 石鼎
河竹の身に韓紅の肩蒲団 蛇笏
うから眠る子等の蒲団はやや低く 草田男
冬蒲団妻のかをりは子のかをり 草田男
少年の日の友と寝る蒲団かな 占魚
おもひやめて足のばしたる蒲団かな 占魚