和歌と俳句

河豚 ふぐ

あら何ともなやきのふは過てふくと汁 芭蕉

あそび来ぬふく釣かねて七里迄 芭蕉

鰒釣らん李陵七里の浪の雪 芭蕉

河豚あらふ水のにごりや下河原 其角

鰒喰へと乳母はそだてぬ恨かな 蕪村

鰒汁の宿赤々と燈しけり 蕪村

ふく汁の我活きて居る寝覚哉 蕪村

秋風の呉人はしらじふくと汁 蕪村

玉川のうた口ずさむ鰒の友 蕪村

海のなき京おそろしや鰒汁 蕪村

音なせそ叩くは僧よ鰒じる 蕪村

河豚の面世上の人をにらむ哉 蕪村

鰒汁や五侯の家のもどり足 蕪村

ふく汁やおのれ等が夜は朧なる 蕪村

ふくと汁鼎に伽羅をたく夜哉 蕪村

逢ぬ恋おもひ切る夜やふくと汁 蕪村

身をまゝに沈めかねたり河豚の腹 暁台

鰒の声砂にまぶれて弱りけり 白雄

河豚喰し人の寐言の念仏かな 太祇

河豚好む家や猫迄ふぐと汁 几董

鰒好と窓むきあふて借家哉 一茶

あさましと鰒や見らん人の顔 一茶

鰒提てむさしの行や赤合羽 一茶

鰒汁や侍部屋の高寝言 一茶

鰒すするうしろは伊豆の岬哉 一茶

ふぐ汁やもやひ世帯の惣鼾 一茶