蓮枯て夕栄うつる湖水哉 子規
蓮枯れて寺の紅葉もなかりけり 碧梧桐
蓮の葉の完きも枯れてしまひけり 鬼城
枯蓮や水にきらめく時雨星 泊雲
水さびて影も映らず蓮枯るゝ 泊雲
枯蓮やたまたま浮きし亀一つ 泊雲
枯蓮や水さゞめかす鳰一つ 泊雲
枯蓮や葉くたびれ居り風のまゝ 泊雲
蓮枯れぬ石橋高くかかりつつ 風生
枯蓮に大きな魚の見えにけり 淡路女
枯蓮や舟のくゞらぬ石の橋 喜舟
枯蓮や有明月のすさまじく 喜舟
枯蓮や泥の深さの烏貝 喜舟
枯蓮の水のそこひの二日月 秋櫻子
枯蓮や水垢見れば流れゐる 秋櫻子
枯蓮にわれ等佇てば里の子も 風生
薄氷のこのごろむすび蓮枯れぬ 秋櫻子
関の址いまは蓮の枯るるのみ 楸邨
大玻璃戸立てゝ枯蓮へだたりぬ みどり女
枯蓮マッチの軸をすてて赤し 風生
枯蓮の水を犬飲むおびえつゝ 虚子
枯蓮の一日二日は蝶も来ぬ 楸邨
枯蓮の残る茎のみ如何とも 汀女
歩道までさす枯蓮のひかりを過ぐ 林火
枯蓮の傷みけぶらふ水の上 林火
枯蓮の水面やうやく平らなり 汀女
蓮枯れて水鳥唯唯と通すなり 汀女
枯蓮の池に横たふ暮色かな 虚子
ひとつ枯れかくて多くの蓮枯るる 不死男
蓮枯れて晴れのむら雲姫路城 蛇笏
肱曲げて家に在り蓮枯れにけり 耕衣
六尺の寝床や蓮枯れにけり 耕衣
枯蓮の折れたる影は折れてをる 風生
水月に雨がきらりと枯れ蓮 蛇笏
西赤し支離滅裂の枯蓮に 三鬼
蓮枯れて空と触れたり河北潟 秋櫻子
枯蓮の折れ下がる葉の世界かな 耕衣
枯蓮に青の還るや乱れむと 耕衣
枯蓮やビール一本もてあまし 万太郎
枯蓮の水にまばゆき入日かな 万太郎
蓮枯るるすべて終るといふ相 風生
枯れ蓮の折れ臥す骨を氷閉づ 悌二郎
琴鳴るや本腰入れて枯るる蓮 不死男
庇ひあひ傷つけあひし蓮枯れぬ 悌二郎
枯蓮や我が道を行く人のむれ 耕衣