西山泊雲
掃く苔に又散りかゝる紅葉かな
竹筏ためて深さや冬の淵
岩襞にすこしたまりて霰かな
芭蕉葉にちりたまりたる枯葉かな
冬山の頂きのつと旭かな
大悲閣の碑石の蔦も枯れにけり
山茶花の日向ぬくさや冬の蜂
まはしまはし選る吊草鞋時雨茶屋
桃の木に紙屑の穢や寒の雨
茨の枝に頬白ふくるゝ粉雪かな
一文字の一葉はね居る深雪かな
焼雲の地にうつりつゝ夕吹雪
初霜や黄葉ほろほろと垣枳殻
旭のつと池の薄氷さゞめける
人が来てふためく鼠掛干菜
寒雀干菜つゝくや尾羽しがみ
石蕗咲くや葉をしりぞけて茎太に
岩搏つてそろりに辷りぬ朴一葉
枯蓮や葉くたびれ居り風のまゝ
松ケ枝や枯蔓かゝるずたずたに