川千鳥隈なき月にとぶも見ゆ
取りかへる支柱や石蕗の花
冬木積む舟見てしめし障子哉
枯木宿行燈静かに動きけり
星見えて椎に音ある時雨かな
藪の表を又過ぎ行くや雪しまき
我が方へいぶる焚火や藪撓む
焚火高くこがるゝ藪の穂尖かな
鍬とれば焚火の酔のさめにけり
簷の櫂の膠を嘗めに寒雀
雪天のくるゝゆとりや寒雀
牡蠣船を出しが灯らず別れけり
鵯たつて地を煽れる落葉かな
冬の夜犬上り寝る米俵
藪空や北斗も見えず雪催ひ
玻璃窓にストーブの火映り園烈風
火燵深く居て軒一枝の垂れ紅葉
麦蒔や児二人遊ぶ蓑の上
麦蒔女泣く児に畝を走り来ぬ
石蕗咲くや汚れず古りし廻り縁
朝な掃く禰宜や枯木の根幾条
色をうつしてこまごま霜の落葉かな
草ひいて煙程の葱育てけり