顎添に枯草まがる思いかな
寂しくて道のつながる年のくれ
晩年や狭庭を踏むも天揺るる
七人も一人に同じ冬の芹
寒鮒の古池を出ぬ喫茶かな
恥かしき狭庭の冬や秘晩年
葱汁や老少先ずは空の中
落日の肌に枯草生えにけり
老体を刺して枯草微塵かな
猫じやらし水をやるのに枯れて行く
一茶忌を移る棺形日向かな
枯れて居る時は過ぎつつ草の道
茶の花の萎れて散るも昔かな
荘子まで出てくる雨や石蕗の花
霜の原水を通さむ思いあり
何もせぬ山山こちら冬の蠅
死ぬまでに死んで居る人雪の恥
白菜を踏まむとしたり最晩年
太陽は葱の此方に寂しきかな
繰り返し氷の張るは恐ろしき
冬の暮地面の人の口の向く
枯蓮や我が道を行く人のむれ
うどん屋まで何メートルの憂き我ぞ