納豆汁
おほふ哉さまさぬ袖を納豆汁 其角
腸をさぐりて見れば納豆汁 許六
入道のよよとまいりぬ納豆汁 蕪村
朝霜や室の揚屋の納豆汁 蕪村
朱にめづる根来折敷や納豆汁 蕪村
僧と居て古び行気や納豆汁 太祇
納豆汁比丘尼は比丘に劣りけり 召波
納豆汁必くるゝ隣あり 几董
禅寺や丹田からき納豆汁 漱石
智月尼の納豆汁にまじりけり 鬼城
納豆汁も富みて嗜めば奢かな 虚子
曲輪にも納豆の匂ふ斎日哉 太祇
納豆の糸引張て遊びけり一茶
豆腐屋の来ぬ日はあれど納豆売 子規
納豆に冷たき飯や山の寺 鬼城
手錠なし納豆の糸箸に引く 不死男
まぎれなき雪の絲ひく納豆かな 万太郎