小春日に七面鳥の闊歩かな
藁積んで門の広さや帰花
帰花咲いて虫飛ぶ静かな
落葉して心元なき接木かな
二三疋落葉に遊ぶ雀かな
凩や水こし桶に吹きあつる
凩や手して塗りたる窓の泥
振り立つる大万燈に時雨かな
あるたけの藁かかへ出ぬ冬構
柴漬やをねをね晴れて山遠し
柴漬や川上に水なかりけり
霜月やかたばみ咲いて垣の下
短日や樫木原の葱畑
冬の日や前に塞る己が影
冬の日や軒にからびる唐辛子
冬に日のかつと明るき一間かな
冬雲を破りて峯にさす日かな
冬雲の降りてひろごる野づらかな
木兎やほうと追はれて逃げにけり
水鳥の胸突く浪の白さかな
水鳥に吼立つ舟の小犬かな
美しきほど哀れなりはなれ鴛
庵主や寒き夜を寐る頬冠
真木割つて寒さに堪ふや痩法師