和歌と俳句

枯芝

枯芝に松緑なり丸の内 子規

赤彦
枯芝の 土手の日あたり 折々に 土のかわきの こぼるるけはひ

枯芒飛ぶ蟲さへも居らずなり 虚子

枯芝を尻に背中につけてをり 虚子

枯芝や庭をよこぎる石の列 龍之介

枯芝に日はかげれども空の色 万太郎

飛び石は斜めに芝は枯れにけり 龍之介

枯芝をすべり下れば室の花 龍之介

目じるしをして水仙や枯芝生 石鼎

枯芝の音立てゝ見よ鴛鴦の沓 かな女

枯芝のひろさ犬に口笛を吹く 彷徨子

枯芝に学生ぞ黄なる寝顔せり 波郷

枯芝に沢山手毬ころがして 立子

枯芝の海に傾き榻もまた 青邨

市の音すれど静かや芝枯るゝ みどり女

陵や邑の轍を枯れ芝に 誓子

いしぶみのもと一塊の芝枯るる 風生

末の子は枯芝にしかも父の膝に 誓子

芝枯れて爆音穹を真蒼とせり 鷹女

戦ひえお忘れゐしにあらず枯芝に 鷹女

しづかなる世を欲ればゐる枯芝に 鷹女

枯芝を歩み夫と子の家に帰る 鷹女

枯芝にうつくしき日はとどまれり 月二郎

枯芝に手をつき梅を仰ぎけり 青邨

枯芝に九品浄土のみぢんたつ 茅舎

書庫守のシェパード抱く枯芝生 林火

芝枯れて紫の襟ふと映えぬ 知世子

兄いもといつも一緒に枯芝に 

芝枯れて福音のみづみづしさよ 草城

芝枯れて染めたるごとき池を抱く 風生