和歌と俳句

北風

原中やうしろ歩みに冬のかぜ 杉風

北風や磧の中の別れ道 碧梧桐

帰り来ぬ人北風に立つ日かな 碧梧桐

北風に鼻づら強き雄姿かな 鬼城

北風にうなじ伏せたる荷牛かな 鬼城

北風や森をたのみの小さき稲架 石鼎

竹藪に北風騒ぐ音ぞかし 草城

北風やお不動山へ土手許り 花蓑

北風に訪ひたき塀を添ひ曲る 久女

北風や小草萌え居る葎底 泊雲

北風や火の粉散らして小煙突 石鼎

北風や多摩の渡し場真暗がり 秋櫻子

北風や梢離れしもつれ蔓 秋櫻子

北風や絶え間も揺れて木々の蔓 秋櫻子

北風や青空ながら暮れはてて 不器男

北風や子の物干して賑はしく 喜舟

北風や護国寺をさす霊柩車 喜舟

北風のますぐに歩く仲仙道 かな女

北風や大青竹の吹きしなふ 淡路女

北風やほとけの足のぶうらぶら 蛇笏

北風や北の星より神の声 石鼎

北風吹く硝子戸に鍵かけてある 彷徨子

北風や神のみたらしからからに みどり女

鴉たゆたふ北風野路の吾が頬にも 石鼎

北風強く水夫のバケツの水を奪る 誓子

北風強く水夫の口より声攫ふ 誓子

供養菊持ち北風に吹かれ立つ 立子

北風や外出の心さらになく 立子

北風や静かな部屋に客とをり 立子

北かぜやみなすこやかに夜のまどゐ 悌二郎

北風の音はるかに聞けり刻経たり 悌二郎

水平線あるのみ青い北風に 三鬼

旺んなる麦生の青に北風鳴れり 楸邨

部屋くらく坐りぬ立ちぬ北風すさぶ 桃史

アドバルン北風はらみ下ろさるゝ みどり女

北風の大門稀に開くかな みどり女

夜ぞ深き葦を折りては北風叫ぶ しづの女

船室より北風の檣の作業みゆ 多佳子

北風の扉がひらかれ煌と吾を照らす 多佳子

駅に降り北風にむかひて家に帰る 多佳子

北風つよく抗ひ来るに身をかばひ 多佳子

園を打つ海の北風に鼻とがる 三鬼

北風すさびたまととび瓦ふるひ落つ 素逝

昼くらく北風つよき日なりけり 素逝

片頬にひたと蒼海の藍と北風 しづの女

海雀を北風に群れしめ解纜す 多佳子

港遠く海雀北風にはのとべり 多佳子

北風を航き陸の探照燈に射られ 多佳子

北風の浪汽艇にうつる腕をとられ 多佳子

トロッコを子が駆り北風の中を来る 多佳子

機翼現れ吾子の口笛北風に和す 鷹女

北風駈る草原吾子を駈らしめ 鷹女

少年に別るる吾子となりて北風に 鷹女

女進む髪の分け目を北風へ対け 草田男

北風に人細り行き曲り消え 虚子

天城雪なし猟人北風に吹かれ去ぬ 亞浪

子が駆けり吾駆けり北風の波うてり 多佳子

北風吹くや月あきらかにの灯 久女

北風の吹きまく雲の尖りかな 占魚

北風荒ぶ赤い帽子の児と船に 占魚



初雪 初氷 寒さ 冬木立 枯木 冬枯 枯尾花 冬の山 枯野 みそさざい 都鳥 千鳥 冬の海 河豚 海鼠 冬ごもり 埋火 囲炉裏 焚火 炬燵 暖炉 火鉢 火桶 湯たんぽ 風邪 蒲団 マスク 襟巻 手袋 足袋 日向ぼつこ 北風 寒風 冬の雨 冬の月 冬至 柚湯 クリスマス 師走 年の市 煤払い 年忘れ 餅つき  歳の暮 行く年 大晦日