和歌と俳句

都鳥 ゆりかもめ

家持
船競ふ堀江の河の水際に来居つつ鳴くはみやこ鳥かも

伊勢物語古今集・羇旅歌
名にしおはばいざ言問はん都鳥わが思ふ人は在りやなしやと


越の海に群はゐるともみやこ鳥みやこのかたぞ恋ひしかるべき

後拾遺集・羇旅 和泉式部
言問はばありのまにまに都鳥みやこのことを我に聞かせよ

新古今集・羇旅 宜秋門院丹後
おぼつかな都にすまぬ都鳥こととふ人にいかがこたへし

頼政
舟わたす すみだ川原に 降る雪の 色にまがへる みやこ鳥かな

寂蓮
言問はで 思ひしよりは みやこ鳥 聴きてくやしき ねをや鳴くらむ

寂蓮
みやこ鳥 ききてくやしき 夢のうちに おどろかすにぞ ねはなかれける

塩にしてもいざことづてん都鳥 芭蕉

嵯峨寒しいざ先くだれ都鳥 蕪村

我舟におもて合せよ都どり 几董

良寛
都鳥隅田川原になれ住みてをちこち人に名やとはるらん

子規
かりの名も まこととなりぬ 都鳥 いざこと問ん そのかみの事

子規
あぢきなき 世をさけし身も 都鳥 都のたより きかまほしけれ

子規
世の中に なき名のたつや 都鳥 鳥に問へかし ありやなしやと

子規
今はただ 名にしあひけり 都鳥 いざこと問ん そのかみのこと

何もかも曇つてしまひ都鳥 万太郎

みやこどりせんべい買ひて都鳥 万太郎

昔男ありけりわれ等都鳥 風生

観音の市近づけり都鳥 万太郎

嘴あかきあはれまづ見よ都鳥 万太郎

煤けたる都鳥とぶ隅田川 虚子

都鳥とんで一字を畫きけり 虚子

川の面にこころ遊びて都鳥 虚子

都鳥汝も赤きもの欲るや 青邨

わが波の一つ一つに都鳥 汀女

頭上過ぐ嘴脚紅き都鳥 たかし

往を急ぎ帰りを急ぎ都鳥 汀女

橋向うがたと淋しく都鳥 汀女

旅人にやさしき目して都鳥 青畝

都鳥降りぬ隅田の芥にも 青畝

川風にあまりに寒し都鳥 立子


短日 冬の日 顔見世 冬の空 水鳥 初雪 初氷 寒さ 冬木立 枯木 冬枯 枯尾花 冬の山 枯野 みそさざい 都鳥 千鳥 冬の海 河豚 海鼠 冬ごもり 埋火 焚火 炬燵 風邪 日向ぼつこ 北風 霜夜 冬の雨 冬の月 冬至 柚湯 クリスマス 師走 年の市 煤払い 年忘れ   歳の暮 行く年 大晦日
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