和歌と俳句

日向ぼつこ 日向ぼこ 日向ぼこり

牧水
日向ぼこ側にねむれる犬の背を撫でつつあればさびしうなりぬ

大木に日向ぼつこや飯休み 鬼城

うとうとと生死の外や日向ぼこ 鬼城

二階に上りし日のさす日南ぼこ 碧梧桐

もの枯るる音のたのしき日向ぼこ 亞浪

日向ぼこに影して一人加はれり 禅寺洞

萩叢を刈ろと思へど日向ぼこ 禅寺洞

おもかげのまなこ細さよ日向ぼこ 禅寺洞

ともあれと日向ぼこりに招じけり 汀女

日向ぼこの冠外せし老儒かな 橙黄子

風邪気味の働くいやな日向ぼこ みどり女

昼月をつらつら見上げ日向ぼこ 花蓑

丁寧に仏具を磨き日向ぼこ 花蓑

雪落つる光飛び来ぬ日向ぼこ 花蓑

日向ぼこ笑ひくづれて散りにけり 風生

少年にとり囲まれて日向ぼこ 風生

この莚敷きつぱなしや日向ぼこ 風生

居こぼれて日向ぼこりの尼ぜかな 青畝

病間や破船に凭れ日向ぼこ 久女

まのあたりうつろふ日ざし日向ぼこ 淡路女

飴の玉いくつもふんで日向ぼこ 花蓑

砂よけのかげにも一人日向ぼこ みどり女

山の色けふむらさきや日向ぼこ 烏頭子

日向ぼつこする猫も親子 山頭火

縁先の引上げ舟や日向ぼこ 風生

ああしてかうして草のうへで日向ぼこして 山頭火

眼の前に脱がれし下駄や日向ぼこ 蛇笏

朝陽のしだいにぬくき日なたぼこ 石鼎

日向ぼこ汽笛が鳴れば顔もあげ 汀女

出でてゆく船とただ見て日向ぼこ 汀女

空に濃き船の煙や日向ぼこ 汀女

あたたかや日向ぼこりのまたたきの 汀女

ちびちびの絵筆また捨て日向ぼこ 茅舎

大木にかくれて日向ぼこりかな 青邨

ふるさとにたよりおこたり日向ぼこ 汀女

麦飯が腹いつぱいの日向ぼつこり 山頭火

太幹の壁のやうなる日向ぼこ 風生

このごとくあること欲りし日向ぼこ 石鼎

山裾に立ちもたれたる日向ぼこ たかし

日向ぼこりして焦燥を免れず 虚子

日向ぼこかうしてゐても腹が減る 花蓑

日向ぼこ何やら心せかれゐる みどり女

山裾に立ちもたれたる日向ぼこ たかし

紺青の空と触れゐて日向ぼこ 鳳作

手に足に青空染むと日向ぼこ 鳳作

日向ぼこして聞き分くる物の音 花蓑

雪雫五彩に跳ぬる日向ぼこ 汀女

鶏のこゑ山彦すなり日南ぼこ 月二郎

書いて見す数字が下手や日向ぼこ 汀女

白眼に互に日向ぼこりかな 虚子

身じろげばたつ微塵あり日向ぼこ たかし

昼月のうごくを見つつ日南ぼこ 月二郎

裏山に梅ありと思ひ日向ぼこ 青邨

目つむれば倖に似ぬ日向ぼこ 汀女

さまよへる風はあれども日向ぼこ 虚子

人を見る目細く日向ぼこりかな 虚子

日なたぼこ視野に入らぬは己が顔 草田男

日向ぼことなりにもまた群が出来ぬ 林火

日向ぼこの我を乱さぬ客ならば 虚子

関守の裔また老ゆる日向ぼこ 青邨

餉をつぐる家ぬち暗く日向ぼこ 麦南