足音を迎へさわだつ落葉かな
あひうちて夜空降り来る落葉かな
ペリカンの己わびしと夕落葉
まだ青き櫟落葉はことに燃ゆ
落葉早や掃き行く人と別れたる
鷲の居る檻にのぼりて蔦紅葉
曇天に居向ふ鷲や蔦紅葉
狐さへ眼を閉づときも落葉風
短日のこの鳩の豆買へといふ
通ひ路のほそぼそ延びて冬菜畑
桑枯れて爐の火赤しと見て来しや
時雨るるや酒場灯影の反きあひ
おさな兒とあそびて遅遅と落葉焚
外套着し後姿のまぎれなく
みそさざいかさと居しより久しけれ
行人に歳末の街楽変り
汐入りの池あたたかし寒椿
冬木立何処よりかも礫かな
鴛鴦ならぬ禽は何ぞや鴛鴦の水
水鳥に人とどまれば夕日あり
気にかかる障子の穴の古りて来し
さらさらと凍て果てぬれば土楽し
雪雫五彩に跳ぬる日向ぼこ
竹馬を今はかつぎて母のもと
枕上来てやる度に隙間風