梅によせて枯山吹をしばりけり
枯萩に一枚の葉もなかりけり
枯芝に沢山手毬ころがして
ゆたかなる水の流れや石蕗の花
大山の時々見ゆる時雨かな
大原路の時雨日和の子供等よ
肩掛をかけて焚火に下り立ちぬ
一せいに街燈ともり冬の雨
俥屋の使ひはしりや冬の雨
落葉ふる大きな音や雑木山
笹鳴のせはしなき尾の八ツ手かげ
落葉掻手のとどかざるうれしさよ
降るといふほどにはあらぬ落葉かな
さかんなる八ツ手の花のうすみどり
大いなる冬木の影をふりかむり
日の当る障子しめあり置炬燵
お天気のけふは冬至や蒲団干す
もたれ寄る枯木の高さ仰ぎけり
枯草をみなみなつけて立ち上る
枯菊をたばねて捨てあり滑川
背の肩の焚火埃に笑ひあふ
我が影の枯山吹にうすうすと
わが身のみ暮れきらずをりをしの水
藁塚のみだれ伏し雪消えやらず
紫の濃き葉牡丹をえらびけり