和歌と俳句

大原

好忠
大原やせが井のみ草かきわけて下りや立たまし涼みがてらに

好忠
大原や槇の炭焼冬来ればいよもなげきの数をしぞつむ

詞花集・雑 良暹法師
大原や まだすみがまも ならはねば わが宿のみぞ けぶりたえたる

京極関白家肥後
みやまぎを やくすみがまに こりくべて けぶりたえせぬ おほはらのさと

西行
年ふれど朽ちぬときはの言の葉をさぞしのぶらん大原のさと

西行
大原やまだすみがまもならはずといひけん人を今あらせばや

西行
大原は芹生を雪の道に開けて四方には人も通はざりけり

新勅撰集・冬 西行法師
おほはらは ひらのたかねの ちかければ ゆきふるほどを おもひこそやれ

新古今集・冬 式子内親王
日數ふる雪げにまさる炭竈のけぶりもさびし大原の里

良経
秋のきり冬のけぶりとなりにけりまだ炭焼かぬ大原の里

定家
秋の日に都をいそぐしづのめがかへるほどなき大原の里

俊成
炭竃の烟ばかりをひとめにて初雪ふりぬ大原の里

俊成
夕暮れはおのが焼くとや炭竃の煙にきほふ大原の里

雅経
さびしとて やくとしもなき すみがまの たたぬけぶりの 大原の里

実朝
すみがまの煙もさびし大原やふりにし里の雪の夕ぐれ

実朝
大原やおぼろの清水さと遠み人こそくまね月はすみけり