貴船
寂蓮
貴船川 百瀬の波も わけ過ぎぬ 濡れゆくすゑの 袖をたのみて
藤原良経
石はしる水やはうとき貴船川たまちるばかり物思ふころ
新古今集・恋 藤原良経
幾夜われ波にしをれて貴船川袖に玉散る物思ふらむ
春雨の貴船に詣る女かな 虚子
鏡餅岩にのせあり貴船道 播水
ひるからの秋の日見えぬ貴船かな 播水
花だより書くひまありし貴船かな 虚子
灰屋より地蕗をもちて貴船まで 立子
俄雨はたしてきたり貴船川 立子
貴船路やだんだん濃ゆき合歓の花 立子
貴船路の心やすさよ浴衣がけ 立子
祭礼に太鼓ひたすら貴船かな 青畝
目さむれば貴船の芒生けてありぬ 虚子
吹きおろす神の紅葉や貴船川 秋櫻子
露けさや煙草売る家の軒荵 たかし
貴船路の家の秋日の縁仕事 たかし