和歌と俳句

岩田の森 石田の森

千載集・春 藤原顕季
きぎす鳴く 岩田の小野の つぼすみれ しめさすばかり なりにけるかな

千載集・秋 藤原伊家
今はしも ほに出でぬらん 東路の岩田の小野の しののをすすき

千載集・秋 覚盛
秋といへば 岩田の小野の 柞原 しぐれも待たず もみぢしにけり

俊成
はやもなけ いはたのもりの ほととぎす 心おそくは 手向けせざりつ

俊成
冬きぬと いはたの小野の ははそはら 色そめそふる 時雨ふるなり

有家
秋ぞかし 岩田の小野の いはずとも 柞が原に 紅葉やはせぬ

家隆
秋深き 岩田の小野の 柞原 下葉は草の 露や染らん

雅経
冬きぬと いはたの小野の こずゑより まづしぐるるは あらしなりけり

雅経
たよりあらば いはたの小野の おのれだに かくとつげこせ 葛のうら風

雅経
ははそはら いろづきゆけば やましなの 岩田の小野の 葛のうら風

実朝
山城の いはたのもりの いはずとも 秋のこずゑは しるくやあるらむ