古今集・哀傷歌 僧都勝延
空蝉はからを見つゝもなぐさめつ 深草の山けぶりだにたて
古今集・哀傷歌 かむつけのみねを
深草の野辺の櫻し心あらば ことしばかりはすみぞめに咲け
西行
鶉なく 折にしなれば 霧こめて あはれさびしき 深草の里
西行
何となく 暮るるしづりの 音までも 雪あはれなる 深草の里
寂蓮
秋の色の あはれまでこそ 思ひしを 霜枯れわたる 深草の里
千載集・哀傷歌 法眼長真
年をへてむかしをしのぶ心のみ憂きにつけても深草の里
俊成
野となれば秋のあらしを寒しとや衣打つなり深草の里
定家
深草のさとのまがきはあれはてて野となる露に月ぞやどれる
良経
深草の鶉のとこを今日よりやいとど虚しき秋のふるさと
良経
秋ならで野邊のうづらの聲もなし誰にとはまし深草の里
家隆
茂き野と夏もなりゆく深草の里はうづらの鳴かぬばかりぞ
定家
雪折れの 竹の下道 あともなし 荒れにしのちの 深草の里
新古今集 慈円
秋を経て あはれも露も ふかくさの 里とふものは 鶉なりけり
雅経
深草や 秋さへこよひ いでていなば いとど寂しき 野とやなりなむ
新古今集・秋 右衛門督通具
ふかくさの里の月かげさびしさもすみこしままの野辺の秋風
楸邨
芋畑や深草の名を思ひ来し