三ケ月と肩を並てあじろ守
はつ雪や吉原駕のちうをとぶ
投節や東海道を投頭巾
御談義の手まねも見ゆるかれの哉
みそさざいチョッチョッと何がいまいまし
綿くりやひょろりと猫の影法師
黒門やかざり手桶の初時雨
霜がれのそれも鼻かけ地蔵哉
米俵手玉にとるや小六月
木母寺の雪隠からも千鳥哉
町中に冬がれ榎立りけり
鰒汁や侍部屋の高寝言
相伴に鳩も並ぶや大師粥
顔見世や人の中より明烏
玉霰茶の子のたしに飛入ぬ
ちまちまとした海もちぬ石蕗の花
御仏の御鼻の先へつらら哉
浮け海鼠仏法流布の世なるぞよ
はく日からはや白足袋でなかりけり
独身や上野歩行てとし忘
本町の木戸りんとして寒哉
大根引大根で道を教へけり
さはつたら手も切やせん冬木立