面白し雪にやならん冬の雨
薬のむさらでも 霜の枕かな
磨なをす鏡も清し雪の花
ためつけて雪見にまかるかみこ哉
いざさらば雪見にころぶ所迄
たび寐よし宿は師走の夕月夜
香を探る梅に蔵見る軒端哉
露凍て筆に汲干ス清水哉
旅寐してみしやうき世の煤はらひ
旧里や臍の緒に泣くとしの暮
其かたち見ばや枯木の杖の長
菊鶏頭きり尽しけり御命講
冬籠りまたよりそはん此はしら
五つむつ茶の子にならぶ囲炉裏哉
被き伏蒲団や寒き夜やすごき
埋火もきゆやなみだの烹る音
二人見し雪は今年も降けるか
米買に雪の袋や投頭巾
さしこもる葎の友かふゆなうり
初しぐれ猿も小蓑をほしげ也
人々をしぐれよやどは寒くとも
冬庭や月もいとなるむしの吟
雪の中に兎の皮の髭作れ