冬木立馬一寸の行方かな
冬川や簸に捨てやる鳥の羽
川中に川一筋や冬げしき
夕川や動かぬもの ゝ又寒し
ふゆがれや寺門かすかに人を呼ぶ
出る日のと拍子もなき枯野哉
蒼天に河辺の蘆のかれは哉
枯蘆やしるべして行雨の声
水際の日に日に遠しかれを花
芥火の烟の中に枯尾花
落葉おちかさなりて雨をうつ
木の葉たく烟のうへのおちば哉
壁くろや鼠行あふみそさ ゞゐ
人嬉し京の真中に冬ごもり
蝿一羽我を廻るや冬篭
冬籠一字に迷ひ夜戸出哉
山寒しせめて火桶の焼蜜柑
捨られし火の淵に兀火桶
堂上に御沙汰有けりえびす講
屋敷から梅もらひけりえびす講
日は冬至埋れ蛙も目覚なむ
利にうときすね人酔り冬至酒
夕闇のまづ風のぼるちどりかな
蠣殻や下駄の歯音に飛鵆
浜ちどり雪の中より顕はる ゝ