雲割れて朴の冬芽に日をこぼす
白雪や潮のごとくあとじさる
時雨来と大木の幹砥の如し
熊笹のささへり白し時雨ふる
とび下りて弾みやまずよ寒雀
寒月の砕けんばかり照しけり
冬薔薇やがらんどうなる梅の幹
寒雀もんどり打つて飛びにけり
日輪に寒雀皆蝟のごとし
木枯に真珠の如きまひるかな
杉の穂に日の円光に冬は澄む
冬紅葉堂塔谷に沈み居り
氷る田の馬込は九十九谷かな
氷る田に団扇太鼓は打たれけり
笹鳴の隠密の声しきりなる
荊棘の冠かづき笹鳴けり
笹鳴や茨の刺の真紅
笹鳴の眦振つて向きにけり
朴落葉光琳笹を打ちにけり
泰山木楕円の雪の晴れにけり
寒詣白き袂の長さかな
杉襖小春の紅葉かこひけり
しんかんと霜の日空のなごみけり
らうらうと泰山木は霜に照り
日に霜に泰山木の葉の厚み