和歌と俳句

川端茅舎

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光り泰山木の葉に流れ

枯芭蕉三本の影相寄らず

寒の土紫檀の如く拓きけり

枯芒脚下に樅の梢かな

月光に深雪の創のかくれなし

月天へ一すぢや松の幹

雪の原犬沈没し躍り出づ

しぐるゝや竃の中の不動尊

大銀杏颪しやまざる焚火かな

暦売南無観音の扉かげ

洲に並ぶ千鳥に白帆矢のごとし

十五夜の寒月梅の南谷

寒月に光琳笹の皆羽撃つ

紫の立子帰れば笹子啼く

散紅葉交へて離々と初氷

鵯谺高杉の穂を逆落し

鵯や紅玉紫玉食みこぼし

霜柱崖は毛細根を垂り

紫の氷かなしや虎落笛

時雨来と背の鉄兜撫で別れ

薔薇色の空に鐘なるかな

梵妻もまじりて時雨火燵かな

烈風にぼんやり灯る枯木宿

捨てし身や焚火にかざす裏表