日向ぼつこ日向がいやになりにけり
霜柱ことに生簀のほとりかな
とりわけて赤土みちのしもばしら
霜柱しらさぎ空に群るゝなり
行儀よく脱ぎしスリッパ冬の雨
松ばやしぬけねばならず冬の月
砂みちのすこし上りや冬の月
海の日のありありしづむ冬至かな
松風の空にあまりし冬至かな
波しろき海の極月来りけり
大年の空の日に刻賭けにけり
掃きだしたあとまだしめずけさの冬
柴垣を透く日も冬に入りにけり
冬に入る月あきらかや松の上
冬来るや平八郎の鯉の圖に
山茶花の散りしく木の間くらきかな
石蕗咲けりけさしぐれたるあときえず
一生に二度と来ぬ日の小春かな
来ては去るその日その日よ返り花
冬紅葉濃き日たゝへてしづかなり
茶室の戸けさまだあかず冬紅葉
黄せきれい濃き黄を投ぐるしぐれかな
しぐるゝやにはかにさして洋傘の朱ヶ
しぐるゝやみるからあまき鹿子餅
一ト木立和田塚くらきしぐれかな