四聖をまつり六賢を迎ふ枯木かな
枯芭蕉ありて客観亭に在り
温室のまうへに白き冬日かな
冬さうび牡丹のごとく卓上に
藪の雪くづれて落つる藪の中
少しづゝおくれて落つる雪雫
時雨れつつ鋸山の歯に夕日
茶を運ぶばさりばさりと時雨婆
しづかにもをさめの祖師の賑はへり
大香炉火を噴きにけり札納
あかざの実食べに来てゐる雀かな
ジヤコビンの赤き蝋燭クリスマス
ストーブの明るくなりて椅子の影
煙吐く御用納のけむりだし
水仙の花の盞うつ雫
一輪の薔薇に去りゆく風邪の神
葛飾の水田かがやき注連作り
鴨下りる水音を聞く火桶かな
海苔舟の人の帽子のいろいろな
白熊の毛皮にうつる煖炉の火
うめの枝ももみぢの枝も雪つもる