和歌と俳句

三井寺

名乗りけり大おんじやうじほととぎす 季吟

三井寺の門たたかばやけふの月 芭蕉

花散りて又しづかなり園城寺 鬼貫

昔哉初音三井寺ゆめの春 其角

からびたる三井の二王や冬木立 其角

三井寺や倶舎よめかゝる梅の花 許六

三井寺や十日の菊に小盃 許六

同じ日に山三井寺の大根引 許六

三井寺や貧乏神の神無月 許六

手雫を猿も打ほる今朝の霜 野坡

七景はにかくれ三井の寺 千代女

三井寺や日は午にせまる若楓 蕪村

三井寺や月の詩つくる踏落し 蕪村

日くれたり三井寺下る春のひと 暁台

秋の風三井の鐘よりふきおこる 暁台

三井寺の鐘にくるゝに雉子の声 几董

門口へ来て氷也三井の鐘 一茶


我宿にはいりさう也昇る月 子規

三井寺をのぼるともしや夕櫻 子規

詩僧あり酒僧ありの園城寺 子規

朝霧や杉の木末の園城寺 子規

鮒鮨や瀬田の夕照三井の鐘 子規

三井寺は三千坊の若葉かな 子規

冷やかに十境三井の名所かな 碧梧桐

花をさす裸仏や三井詣 碧梧桐

三井寺や狂女もあらず枯木立 虚子

餅うるや春を近江の三井の寺 虚子

晶子
三井寺や葉わか楓の木下みち石も啼くべき青あらしかな

晶子
大夏の近江の国や三井寺を湖へはこぶと八月雲す

茂吉
三井寺に日は暮れにけり石垣のあひのぼりてゆけば寺々

茂吉
くらきより歩み来りて三井寺のいさごのうへの杉しづくのおと

憲吉
つばくらのちひさく啼けば葉にぬれて日かげのうすく洩れこぼれけり

尾崎迷道
三井寺や諸人参詣道の

草田男
清水もつれ流れて末濁らず

草田男
露の鐘鳴るとき母よ子を信ぜよ

草田男
国の勢ひは山々へ退きの寺

青畝
宵闇の三井寺下の灯は宿屋


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