肩借りて足袋ぬげるあり若菜摘む
われらまた射初見るなる息を断つ
下向路の泉香にたち初詣
老の口初笑ひして噤むなる
神橋のことに飛雪裡初詣
幾泉見て初詣深大寺
賀状よむなほ嵩ありて一人ひとり
花鳥もて挽歌をはりぬ読はじめ
弓構へに入ると雪映え弓始
射初めせし残身をなほ崩さざる
おぼえなき名にして句あり賀状よむ
書初のことに一字をほめやりぬ
大硯の巌をかたへ筆はじめ
世に在らぬ如く一人の賀状なし
かかる丈の衣桁の春著着るものか
受くる子と賀状配りと歳いづれ
刀自の読む咳まじりなり歌留多とる
初富士に雲二はしら麓より
それぞれの杉に天涯初詣
奥社へは氈苔の磴初詣
初夢を言ひあふに死の一語あり