鬼の来ぬ間の羽子の音きこえけり 万太郎
羽子板の鷺とからすの衣装かな 万太郎
羽子の音いづこぞこゝは磯なるに 秋櫻子
羽子の音つよし竹のさわげる風の中 多佳子
雪空のところもかへず羽子をつく 汀女
つく羽子の音のつづきに居る如し 汀女
羽子の音やすでに三日のらんびやうし 万太郎
女体の奥鳴りいだすごとく羽子をうつ 楸邨
羽子うつと口の端に髪噛んでをり 楸邨
羽子落ちて木場の漣あそびをり 波郷
寒くなる一方にして羽子の春 青畝
羽子板のばれんみだるゝ纏かな 万太郎
羽子板の佐七の喧嘩かぶりかな 万太郎
息かくる一と羽一と羽と羽子蘇きる 多佳子
羽子つけば四方の谺に松秀で 汀女
羽子板や勘平火縄ふりかざし 秋櫻子
追羽子や森の尾長は森を翔び 波郷
羽子板や蝶に目覚めし獅子の精 秋櫻子
羽子板の道節印を結びけり 秋櫻子
羽子つよくはじきし音よ薄羽子板 多佳子
羽子板や病む一葉が命の灯 秋櫻子
掌につつみ豆羽子板を愛しけり 風生
羽子板やお宮の松の古事を 秋櫻子
羽子板や人形振りの髪解けて 秋櫻子