あかつきの一言ぬしやほとゝぎす
ほとゝぎす我も都のうつけ哉
うぐひすの箱根や伊豆の子規
ほとゝぎす啼やあふみの西東
卯の花に貴船のみこの箒哉
道のべの低きにほひや茨の花
逞しき葉のさまうたて桐の花
ぎやうぎやうし日高に着て伏見哉
灌仏や運慶閑に刻けん
灌仏やわらぢも許す堂の櫞
さびしさの中に声ありかんこ鳥
昼日中逢人もなしかんこどり
虹たるゝもとや樗の木間より
加茂衆の御所に紛るゝ祭かな
大坂の牡丹さ ゝげぬ本願寺
園広し黄なるも交る牡丹哉
十津河や見込の武具も麦埃
短夜や老しり初る食もたれ
みじか夜をしらで明けり草の雨
かたつぶりけさとも同じあり所
夜べの雨馬藺に殖ぬ蝸牛
青んめや黄なるも交雨の中
かきつばた深く住戸に鳴子哉
鍵の手の寺前の池やかきつばた