和歌と俳句

榎本其角

帆かけぶねあれやかた田の冬げしき

御留守居に申し置く也神無月

神の旅酒匂は橋と成にけり

炉開きや汝をよぶは金の事

達磨忌や自剃にさくる水鏡

ふれみぞれ柊の花の七日市

蝶ひとつとばぬ日かげや石蕗の花

千鳥たつ加茂川こえて鉢叩

かも河の鴨を鉄輪に雪見かな

珍らしき鷹渡らぬか対馬船

帰り花それにもしかん莚切れ

あれきけと時雨来る夜の鐘の声

飼猿の引窓つたふしぐれかな

我庵も瀬田の時雨の刷毛ついで

小夜しぐれ人を身にする山居かな

みみづくは人に頭巾をぬはせけり

鴨の毛や鴛の衾の道ふさげ

千鳥なく其夜はさむし虎が許

高取の城の寒さよしの山

使者ひとり書院へ通るさむさかな

からびたる三井の二王や冬木立

なきがらを笠にかくすや枯尾花

日の本のふろ吹きといへ比叡山

根深ひく麦の早苗やあやめ艸

衿巻の松にかかるや三穂の海



宗鑑 貞徳 季吟 宗因 来山 言水 才麿 鬼貫 芭蕉 素堂 嵐雪 去来 丈草 凡兆 史邦 杉風 荷兮 曾良 路通 越人 土芳 野坡 支考 許六 浪化 惟然 北枝 涼菟 千代女 也有 蕪村 召波 暁台 白雄 太祇 几董 青蘿 一茶