和歌と俳句

由比ヶ浜

子規
天つ空 青海原も 一つにて つらなる星か いさりする火か

子規
朝な朝な 霞の底に 色そへて 遠山櫻 今やさくらん

明月のともし火遠し由井が浜 碧梧桐

晶子
鎌倉の 由比が浜辺の 松もきけ 君とわれとは 相おもふ人

晶子
翡翠なる かんざし震ひ 砂におつ 由比が浜辺の 悲しき夕

浪音の由比ヶ浜より初電車 虚子

身の上の相似て親し桜貝 久女

海風に吹かれ疲れぬ雲の峰 立子

馳けてゆく水際遠し雲の峰 立子

の暈大いなるかな由比ヶ浜 虚子

夕日まつかに没したり磯千鳥 立子

初乗や由井の渚を駒並めて 虚子

実朝忌由井の浪音今も高し 虚子

由比ヶ濱古濤聲にわたる 蛇笏

冴返る浪音強し由比ヶ浜 青畝