糖尿と膝の痛みと食欲と漢方

歩いて両膝が痛む

60代女性両膝の痛みで来院

5年前から両膝の痛みを
繰り返しながら
現在に至る

病院では変形性膝関節症

当院で各種検査を行う
側副靭帯や半月板の損傷
を認める


この場合通例の病院の処置では
ステロイド
ヒアルロン酸
痛み止めの錠剤
マッサージ


痛みは繰り返しながら
徐々に悪化




病院では
年だから仕方がない
糖尿だから
太っているから
そんな事を言われ
傷つきながらこれまでやってきた。


医療サイドからすれば
痛む原因が
患者さんにある
と考えれば
責任が無いので
精神的には楽だけど・・・




当院ではそのようには考えない

神にはなれないけれど・・・



中国留学中に言われた
老中医(ろうちゅうい)の言葉
※年老いた漢方の医師


「患者さんが治らない事を患者さんのせいにしてはならない」
「私はこの言葉を胸に人生を過ごした」
「脈は必ずみなさい」



貧しかった
1980年代の中国南京


朝早いうちから
その老中医を訪ねて
田舎から大八車に載せられ
長蛇の列が並んだ。


8台くらいのベッドを
診察して回る
神の様に思えた



現代社会には鍼灸整骨院しかできないことがある


素朴な事だけど
一番は患者さん目線でお話が聞けること




60代の患者さん

初診時
脈を診ながら消化器系の異常がある脈が検出されたので


甘いものの食べすぎはないですか?


すると予診票には書かれていないことを話され始めた。


5年前から糖尿が発症
その時前後から18キロ体重が増える

病院では食事制限を指導されるが実行できない


体の柔軟性を調べると固くて伸びない



ふと・・・


どこから治そう・・・



まずは5年前に何があったか?

だけど詳しくは聞けていない
長年の感で聞いてはいけないと感じた。


話の流れから
緊張する出来事があった事が伺える


緊張する出来事があると


身体は緩めようとして



漢方医学では甘いものを摂取する



緩めるために甘いものを食べ
糖尿を招いたと考えた


そのことも考えずに
やれ糖尿だ
やれ膝だ
やれ年齢のせいだ


そこじゃないのでは・・・



問題は事の始まり
ある事象がきっかけで
甘いものを食べるようになった。


一番いいのは問題の解決だが
現実的には難しい



人間の基本的な性質として
身体が緩むと意識が緩む性質がある



身体を緩める方法にはいろいろあるが


身体を動かす
歌を歌う
ヨガや鍼灸なども効果的



このシステムを患者さん自身が自覚して膝を治そうと思えば


根本的に解決できるのではないか


この患者さん
臨床的に


本質的に膝を治そうと思えば
5年前からの病理を考えなければ
解決には至らないのではないか


アプローチの仕方として

気を付けなければならないのは患者さんの意識を変えようと無理やりこころをこじ開けてはいけない



そんな事を大切に診療しています



2021年01月22日