夜景 9 雪の夜のメルヘン

 

 

冬の夜景を前にふと雪の声が聞こえた







ぼくは雪の精

白い翼を持った雪の精

僕にはそんなに大きな力はありません

でも一度だけこの街を雪でつつむ事ができるんだ

でも みんな 僕を嫌う

そう 僕はみんなを凍えさす みんなに風邪をひかせる

でも いいんだ それも僕だから





僕はこの夜空をこの白い翼ではばたく

夜空に舞ながら

僕の羽が散っていく

幾千も 幾万も

散って行く

それはやがて雪になっていく





僕の歌は静寂

僕が歌うとしずかに

僕の雪がみんなの家をつつんでいく

しずかに





僕は知っている

僕の寒さで人は幸せを知る事を



ぬくもりと言う幸せを



ストーブのオレンジ色のぬくもり

セーターの雪色のぬくもり

レモンテイの黄金色のぬくもり

色々な思いがまざった人の七色のぬくもり





僕はひとり孤独な空の中

みんなのぬくもりを見ている

僕だけひとり孤独な空の中





この羽はやがては尽きて

僕は消えて行く





僕は舞う この羽を散らしながら

僕は歌う この静寂の歌を

この体が尽きるまで



  

  

  

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